重原 佳歩 (470リーダー スキッパー)
トップメンバーで出場する順番を考える際には特異な風を参考にするか、それぞれのペアが緊張を減らせてモチベーションが上がる順番を参考にするか話し合った結果、本レースは3日間とも風が吹く予報だったので後者をもとに決定しました。前日のコメディカルレースでは優勝争いをすると予想されていた京都府立医科大学(以下京府医)の近くを走っていることが多かったです。京府医はクローズが、自艇はリーチングが得意であったので追い付かれたり追い抜いたりをしていました。コメディカルレースの手ごたえからミスは許されない、風が上がると厳しいレースになると思い、本レースの朝は非常に緊張していました。夏の広島らしく朝は北風で、少しずつ南に風が回って午後には10ktを超えるしっかりとしたシーブリーズが入る予報でした。
1レース目は不安定な北風からのスタートでした。当日の朝、応援に来てくださったOB・OGの先生方から北風の時は振れをとにかく意識するようにとアドバイスをいただきました。ペアでそれを心に刻みながらレースに挑みました。風が上がりきらなかったので不安があったクローズでは差がつくことなく1回目の上マークを回航できました。そのため、1回目の上マーク以降は落ち着いて私たちの走りができ1位でフィニッシュしました。スナイプペアも1位でフィニッシュし、2レース目以降に向けて勇気をもらい緊張が少しほぐれたことがとても印象に残っています。
2~4レース目は安定した風がしっかりと吹いていたので、私たち軽量級ペアにとってはメインセールを抜きながら走るレース展開となりました。高身長ペアの京府医にはクローズで差をつけられました。私たちもセンターを上げてヒールを安定させたり少しドライブで走らせたりするなどできることはしながら走ったものの、クローズは京府医の後ろを追いかける形となりました。自艇のほうが安定感のあるリーチングや下れているランニングで差は縮まりましたが、コース間違いや競っている時の位置取りミスもあり追い抜かすことができず悔しいレースとなりました。
5レース目では少し風が落ちて、私たちのペアがブローで少しオーバーパワーという風になりました。クローズでつけられる差が減るので何としてでも1位を取りたいと思いながら臨みました。1回目の上マークでは負けていたものの、1回目の下マークに近づくにつれて追いついていき自艇が前で回れるポテンシャルとなりましたがジュリーにパンピングを取られてしまいました。抜かそうという気持ちが先走り、風が落ちО旗が降りていたにも関わらずパンピングをしてペナルティーを受けたので京府医に抜かされて2位となりました。
1日目の時点では1位の京府医とは4ポイント差で、2日目以降の岡村・福長ペア、大下・貞綱ペアにバトンを渡すことになりました。4人の健闘により同点まで追い上げ、1位の回数で470級は準優勝に終わりました。この結果を踏まえると初日の私のペナルティーやコース間違いがなければと悔しくて仕方ありません。
総合優勝を目指して一緒に闘ったトップメンバー、日々練習を支え、運営で忙しい中でも応援してくれたサポートメンバー、食事を準備してくださった保護者の皆様、応援やご支援をしてくださったOB・OGの先生方には大変感謝しております。特にハーバーまでかけつけて、声かけや差し入れをしてくださったことで勇気づけられました。誠にありがとうございました。
越智 啓敬 (スナイプリーダー スキッパー)
本レース前日に行われたコメディカルレースで上位争いとなったのは、京都府立医大・神戸大・浜松医大であり、翌日以降の本レースでも共に上位を争うのは彼らだろうと予想していました。中でも京都府立医大は常に上位であり、翌日の本レースでも何とか私が喰らいついて行かねばという気持ちと彼らの実力に圧倒された不安感でいっぱいでした。
レース1日目、台風の影響が続き、北風と南風が拮抗する時間帯での出艇となりました。微風から順風を得意とする私たちは、最初のレースで北へ東へ振れ続ける風の中、ベストな風を掴みなんとか1位を取ることができました。ゆったりとしたレース展開の中でひりつく時間が続いたのを覚えています。以降は安定した南風が入り、特に風が落ち着いていた2、5レース目は自身の走りができ、1位を取りました。3、4レース目は風が上がり、体格的に有利な京都府立医大を何とか追いかける形で2位を取りました。好調な滑り出しであり、なんとかいい形で翌日のスキッパーにバトンタッチできました。
2日目の曽根川/田原ペアのおかげで、2位以上を取り続ければ優勝が狙える状態で3日目を迎えました。2日目の夜は、緊張とプレッシャーであまり休めませんでしたが、まずはヨットを楽しもうという気持ちで出艇しました。1レース目、他大学の影響を気にするあまり思うようなスタートが決められず、3位なり、精神的にかなり響くレースでした。しかし、陸上や支援艇からの応援、そしてクルー田原からの励ましもあり、気持ちを切り替えて残りのレースを走り切りました。最終レースはこれまでの疲れもありましたが、現役最後のレース、全力で楽しんで走りました。結果としては準優勝であり、未だに悔しい思いが強いですが、良いレースができたと思っています。
一緒に走りきってくれた本レースメンバー、応援し続けてくれたサポートメンバー、広島でのレース運営を支えていただいた関係者の方々には大変感謝しています。そして何より応援してくださったOB・OGの先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
福長 直人 (470級 クルー)
本来は2日目のみの出場予定でしたが、レースメンバーの体調不良により3日目の後半のレースも出場することになりました。2日目の朝は今までに感じたことのない緊張感でしたが、部員や家族、OB・OGの方々の心のこもった応援により背中を押され、笑顔で出艇することができました。
出艇直後は3m/s程の微風で、ハーバー付近の海面で陸上から見守られる中でのレースでした。コメディカルレース、本レース1日目の結果から、京都府立医科大学との1位2位争いになると予想していましたし、コメディカルレースでは京都府立医科大学に競り勝っていたので、大丈夫だと自分に言い聞かせていました。しかし、レース5分前になるとまた心臓がバクバクし始め、胸が張り裂けそうなままスタート信号が鳴り、第6レースが始まりました。
スタート後は周りより前に出ることができたため、フレッシュで走ることができました。その後はいつも通りの走りができて、気が付くと1回目の上マークを1位で回航していました。2回目の上マークも1位で回航し、そのまま1位でフィニッシュしました。トップホーンが鳴った瞬間、広島大学の歓声とともに緊張の糸がほぐれ、思わず声が出てしまうほどの達成感に包まれました。1位を取ることで自信がつき、続く第7レースも、海面が変わった第8レース以降も1位でフィニッシュし続けることができ、2日目は全レースで1位でした。京都府立医科大学とは2点差で勝った状態で3日目にバトンを渡せてよかったです。
3日目前半の大下/貞縄ペアは2点差をキープしてくれましたが、後半の私たちが結果振るわず同点になってしまい、京都府立医科大学より1位の数が少なかったため470級は最終成績で2位となりました。
結果470級優勝にも届かず悔しい大会でしたが、とても楽しい大会でもありました。トップメンバーを始め、円滑な運営をしてくれていたサポートメンバーや学生OBの方々、広島大学を応援してくださった方々全員が1つの目標を目指して、一丸となって勝ち取った西医体総合準優勝だと思っています。
西医体総合優勝は来年の代に託すとともに、今から練習を重ねてトップメンバーになる2年後の西医体総合優勝を目指します。
岡村 直樹 (470級 スキッパー)
最後の大会は、一段と長く感じる特別なものでした。5年間の部活生活の集大成であり、これまでの努力が試される瞬間でした。出場する前日、総合成績で優勝候補の京都府立医科大学といい勝負をしていることが分かっていました。スナイプ級が頑張っていることを知り、それが私のやる気を一層高めました。動機からは1日目に優勝候補と争った際の相手の特徴や海面の特性、勝ち筋を細かく聞き、有利な情報を集めました。練習の成果を出し切り、少しでも優勝に貢献したいという気持ちで胸がいっぱいでした。
レース2日目、緊張感が一気に高まり、気が付けば1レース目のスタート5分前でスタート位置についていました。これまでの経験から、スタートのレベルがそれほど高くないことは分かっていたので、遅れを取らないことだけを意識しました。スタート後は、レースであることを忘れ、ただひたすらメインセールとティラーを調整していました。1日目に京都府立医科大学の上りの艇速が非常に良いことが分かっていたので、全ての意識を艇速に集中させることが勝利への近道だと信じていました。気が付けば、1回目の上マークを1位で回航しており、安堵と共に、頼り切っていたクルーに感謝の言葉が自然と出ていました。その後はリードを保つため、優勝候補をカバーしながら無事に1レース目を1位で終えることができました。これまでの練習が無駄ではなかったと確信し、緊張も和らぎました。その後も私たちの実力なら勝てるという自信で、冷静に1位を重ねることができました。2日目の終了後、これまでの練習が結果として報われたことで、感じたことのない満足感を味わいました。
3日目の朝、同期が体調不良となり私は急遽3レース目から出場することになりました。心の中がざわつき、昨日のようにうまくいくか不安でした。周りからの励ましの声があり、自信が湧くとともに頼られているというプレッシャーを感じました。3レース目が始まった時点で、優勝はかなり難しい状況であることが分かっていましたが、それでも昨日のように1位を目指しスタートしました。しかし、1回目の上マーク回航時に優勝候補との大きな差を目の当たりにし、衝撃を受けました。それでも諦めずに追いつこうと奮起しましたが、結果は2位に終わりました。最終レースでは470級優勝を逃さないために全力を尽くしましたが、結果はまたしても2位。自分の力不足を痛感し、悔しさとともに、圧倒的な実力差を感じながら着艇しました。
着艇後、出迎えてくれた同期の顔を見た瞬間、申し訳なさと悔しさで涙が止まりませんでした。同時に、後輩たちにこの悔しさを乗り越えてもらいたいという思いが強く芽生えました。
全体としては準優勝という結果でしたが、チーム一丸となって戦うことができ、これ以上ない形で引退できました。今後はOBとして、できる限りのサポートをして参ります。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。これからも広島大学医学部ヨット部の活躍を期待しています。
田原 慎太郎 (スナイプ級 クルー)
西医体は今までの大会とは違う強いプレッシャーがあったことが一番印象に残っています。本レース前にコメディカルレースがあり、他大学の実力をリサーチするという作戦のもと西医体に臨みました。そこで神戸大学が4位、広島大学が5位という結果となり、広島大学と京府医の一騎打ちと予想していましたがそれ以外の大学も絡んでくることが分かりました。その日の夜に本レース出場メンバー、学生OBの先輩方と話し合って「上ピンからスタートする」作戦を決めました。
そして迎えた本レース1日目。見事この作戦は功を奏し5レース中3レースが1位、残り2レースが2位という好成績を残すことできました。貯金を作ることができ一安心という気持ちがある一方で、浮かれずに緊張感を持たなければという自信へのプレッシャーが入り交じり、何ともいえない気持ちで1日目は終わりました。
2日目はペアのスキッパーが変わりカットレースを作りながらも5レース中3レースで2位を取り、総合優勝争いの可能性に繋げることができ少し安心しました。
3日目は京府医の他にも浜松医科・京大・神戸大を含む5大学で争う厳しい展開となりました。上りではお互いにカバーをしあうタックマッチになり、下りではマークルームを主張するため罵声が飛び交うなどと紳士のスポーツとは言い難いくらいみなが必死で、これはスポーツというよりも戦いだなという印象でした。
今年度の3年生のスナイプクルーは私しかおらず、西医体以外の大会でもペアのスキッパーに関わらず必ず部内で1位にならなければいけないというプレッシャーがありました。練習では1人で課題点を見つけてスキルアップをするなど難しい1年でした。
スナイプ級は2位ではありましたが個人的には満足した西医体でした。来年も応援の程よろしくお願いします。
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